【コラム】茨城県鹿嶋市の小学生による東京オリンピック男子サッカー韓国代表チーム応援につながった、西帰浦市との姉妹都市関係~西帰浦には「日韓友好親善梅公園」もあります!

令和3年9月3日
「済州と日本のちょっといい話」は、2020年4月から2022年7月まで2年4か月にわたり済州で総領事を務めた井関至康前総領事が、済州の様々な場所と人々に出会い、済州道民の皆様からの協力を得て、取りまとめたものです。多様な分野で長い間続いてきた済州と日本の深い関係に触れる一助となれば幸いです。
※「済州と日本のちょっといい話」の記事内容は連載当時のものであり、一部内容は最新の状況と異なる可能性があります。



 コロナ禍の中で開催された東京オリンピックに際しては、様々な困難もありましたが、茨城県鹿嶋市のカシマスタジアムで開催された男子サッカー1次リーグの競技において、同市の小学生が韓国代表チームをはじめとする出場チームに対して行った応援については、日本でも韓国でも、多くの報道等で高い評価が示されました。
 
 それにしてもなぜ、鹿嶋市の小学生による韓国代表チームへの応援が、多くの報道等で話題になったのでしょうか?それには、済州道にある姉妹都市・西帰浦市と、かねてより常日頃の緊密な交流関係があったからです。
 

鹿嶋市と西帰浦市の姉妹都市関係

 

 
 
 

 鹿嶋市と西帰浦市は、2002年の日韓共催W杯サッカー大会に際して両市でも競技が行われたのを機に、2003年に姉妹都市関係を締結。それ以来、緊密な交流を続けてきました。それを象徴するかのように、西帰浦市の中心部からほど近い「西帰浦七十里詩公園」の一角には、両市の姉妹都市締結を記念して西帰浦市が整備した「日韓友好親善梅公園」があり、季節には美しい梅の花が咲き誇ります。梅の木は、鹿嶋市がある茨城県の県木。茨城県の4団体(茨城県日韓親善協会、茨城県日韓女性親善協会、在日本大韓民国民団茨城県地方本部、在日本大韓民国婦人会茨城県地方本部)が西帰浦市に行った寄付を、公園の梅の木の植樹基金にされたということです。
 
 この「済州と日本のちょっといい話」の他の記事でもご覧のとおり、西帰浦市にある公立美術館3館(李仲燮美術館奇堂美術館素菴記念館)は、いずれも、日本と極めて深い関連を有しています。また、同市にあるみかん博物館でも見たとおり、みかん農業を通じたご縁も極めて深いものがあります。さらに、西帰浦市を含め、済州道民の皆さん全体として見ても、相当数の方々が日本に親戚を有しているという土地柄です。
 
 こうしたことから、西帰浦市は、鹿嶋市、そして別途姉妹都市関係を締結している和歌山県紀の川市、佐賀県唐津市等との間で、新型コロナウィルスの影響で両国間の行き来が困難となっても、日韓関係が厳しくなっても、むしろそのような状況だからなおさらという心意気で、オンライン交流等を通じて、交流の維持・発展に全力を尽くしてきています。鹿嶋市にあっても、東京オリンピックに際しては、男子サッカー1次リーグの開催地として韓国代表チームを迎えるにあたっては、姉妹都市・西帰浦市との交流に鑑みて、自然と応援しようという空気になったと伺いました。
 
 西帰浦市は韓国最南端の地方自治体で、気候温暖ではありますが、それでも冬はやっぱりそれなりに寒いです。ですが、冬来たりなば春遠からじ。寒に堪えて麗しく咲く梅の花が、春を呼び込むように、日本の姉妹都市等の皆さんが、以前のように西帰浦市を自由に訪れ、オフラインでも活発に交流できる日が来るのが、本当に待ち遠しいです。
 

西帰浦の「日韓友好親善梅公園」



△公園の梅の花の見頃は、例年2月から3月上旬にかけてだそうです。ちなみに、西帰浦市と和歌山県紀の川市の姉妹都市関係についても申しますと、両市が姉妹都市関係にあるのは、みかん農業の縁もあってのことですが、紀の川市は梅に関しても有名、さらには和歌山県は梅の生産量日本一で、その県木もやはり梅の木です。


△公園内には、佐賀県唐津市との姉妹都市締結の5周年、15周年を記念する植樹もあります。漢拏山をバックに、映えますよね~。


△公園は、西帰浦の中心部にほど近いロケーションですが、天気がいい日は漢拏山も望みながら、西帰浦市を代表する名勝地の一つ、名瀑・天地淵(チョンヂヨン)も見下ろす素晴らしい立地です。この地に日韓友好親善の公園を作った西帰浦市の皆さんの心意気が伝わってきます。梅の花が咲いていない季節に訪れても、(天気が良ければ)漢拏山と滝の絶景を満喫できます。済州島をほぼ一周するトレッキングコース「済州オルレ」の第7コース、西帰浦市と社団法人済州オルレが新たに西帰浦市内に開設したトレッキングコース「ハヨンオルレ」の第1コースの経路上にも当たります。
 

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