済州誕生の地「三姓穴」と「婚姻址」訪問

2020/12/24
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 井関至康総領事は、済州市の旧市街にある、済州を代表する文化財・観光地である三姓穴(サムソンヒョル)を訪問し、高・梁・夫三姓祠財団の高正彦(コ・ジョンオン)理事長にご案内いただきました。
 

済州誕生の地「三姓穴」とは?

 三姓穴とは、太古に耽羅(今の済州道)を創建した三神人(高乙那、良乙那、夫乙那)が湧いて出てきたとされる3つの穴ということで、神話上、済州の開闢の地です。この高乙那、良乙那、夫乙那は、それぞれ、現在の済州を代表する姓である高(コ)氏、梁(ヤン)氏、夫(プ)氏の先祖とされているので、3つの姓を持つ済州の皆さんが、共同で財団を作り、三姓穴を管理・保護しているということです。
 
 穴から出てきて、狩猟生活を送っていた三神人は、済州島の東海岸・城山(ソンサン)邑に位置する延婚浦(ヨンホンポ)で、五穀の種や家畜とともに流れ着いた3人の姫を迎え、それぞれ結婚することになったとされています。
 
 なのですが、なんとこの3人の姫は、李氏朝鮮期の『高麗史・地理志』では、「日本国使」が日本から連れてきたとされています。ただ、時期は不明ですが、『瀛州誌』(高麗末か李氏朝鮮初期と推定される)では、3人の姫は「碧浪国」から来たとされていて、この「碧浪国」が九州等の日本にあったのか否かよく分からないということで、どこから来たのかは定かなものではないそうです。ただ、耽羅国との交流については、『日本書紀』でも記載(司馬遼太郎氏の『耽羅紀行』によると22回)があり、済州と日本の間には、三姓穴の開闢伝説のような太古の昔から交流の歴史があったようだということは、言って間違いなさそうです。
 
 上記のような次第で、三姓穴は、日本からの団体旅行のコースに組み入れられることも多いということです。1万坪の敷地全体が、太古の昔から大事に守られてきた、済州の旧市街地では随一のうっそうとした森で覆われており、また巨木も多く、いかにも神のおはす土地という空気を感じます。植生も似ているからでしょうか、高理事長によれば、日本からの観光客には、日本の神社の境内の雰囲気と似ていて親近感を覚える、という方も多いとのことです。
 

新婚スポット「婚姻址」

 なお、3人の姫が流れ着いたとされる城山邑の延婚浦には、石碑が設置されています。また、その近傍にある婚姻址(ホニンジ)は、三神人と3人の姫の3組が婚礼を挙げたとされる場所で、婚礼に備えて体を清めた池と、初夜を過ごしたという洞窟が残されています。洞窟での新婚生活は、現代の感覚では、ちょっとワイルド過ぎてしんどいな~とも思われますが、太古の海を越えたロマンチックな出会いに思いを寄せるのも、よろしいのではないでしょうか。古代版の「韓流」ストーリーなのか、それとも「日流」なのか、微妙なところではありますが。
 

訪問関連フォト

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△三神人の位牌が祀られた三聖殿の前の焼香所・三聖門で、高理事長から説明を受けました。太古の耽羅国の時代の祖先崇拝の上に、後の時代の李氏朝鮮期に普及した儒教式の祖先崇拝のスタイルが載っかっているのが、興味深くもあり、歴史の重みも感じさせます。
 
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△三姓穴。杭で囲われた中に穴が3つ開いています。文化財保存の関係で調査が困難なため、実態はよく分からないそうですが、それでも火山島・済州島にあって、大きな火山性の洞窟とつながっている可能性があるそうです。実際、穴からは、冬でも温かい空気が流れ出てくるので穴の周りだけは雪が積もらず、また、周囲の木々も、温かい空気が流れ出てくる穴の方向に向かって育つそうです。
 
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△2020年は新型コロナの影響で残念ながら非公開で行われましたが、毎年12月10日には「乾始大祭」が済州道祭(李氏朝鮮期には国の祭りだったそうです)として執り行われ、多くの観光客が訪れるとのことです。また、毎年4月10日と10月10日には、3姓の子孫の皆さんによる「春秋大祭」が執り行われています。
 
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△婚姻址の、三神人と3人の姫が婚礼の前に体を清めたという婚姻池。その横には、初夜を過ごしたという洞窟があります。婚姻址も、高・梁・夫三姓祠財団が管理・保護しておられるとのことです。毎年6月10日には、3人の姫を祀る追遠祭が執り行われているとのことです。
 
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△婚姻址も観光スポットということで、ラブラブな顔出しが置いてありました。ちなみに総領事夫人は、日本から来ませんでした。(単身赴任とのことです…。)
 

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