アクアプラネット済州~沖縄「美ら海水族館」とも縁の深い済州島最大の水族館
令和3年2月19日
「済州と日本のちょっといい話」は、2020年4月から2022年7月まで2年4か月にわたり済州で総領事を務めた井関至康前総領事が、済州の様々な場所と人々に出会い、済州道民の皆様からの協力を得て、取りまとめたものです。多様な分野で長い間続いてきた済州と日本の深い関係に触れる一助となれば幸いです。
※「済州と日本のちょっといい話」の記事内容は連載当時のものであり、一部内容は最新の状況と異なる可能性があります。
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井関至康総領事は、済州島の最東端、世界遺産の城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)を見渡す立地の水族館「アクアプラネット済州」を訪問し、マーケティング・パート長のイ・グァンヒさんにご案内いただきました。
沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館をベンチマークした「アクアプラネット済州」とは?
「アクアプラネット済州」は、済州島東部の中心的な観光施設と位置づけられる、済州島最大の水族館です。海に四方を囲まれた済州道では、もともと海洋科学館を設立したいという構想がありました。さらに、済州特別自治道知事を務めた金泰煥(キム・テファン)氏が、「沖縄美ら海(ちゅらうみ)水族館」を視察した際、日本の本土の修学旅行生も多く訪れる様子に接し、2004年の知事就任後、済州島にも同様の施設を設立する必要があると、海洋科学館の設立を加速化。済州島の最東端部の道有地を提供し、民間投資を活用することで、2012年に「アクアプラネット済州」が開館するに至りました。そういう経緯を知った目で見ると、「美ら海水族館」を訪れたことがある方はお分かりになると思いますが、部分部分、「美ら海水族館」を意識して設計されているところが、目に入ってきます。また、展示の目玉のマンタや、ショーでも活躍するバンドウイルカ等、展示されている生き物も、「美ら海水族館」を通じて導入したものが多く含まれているということです。世界の海を紹介するコーナーでも、沖縄の珊瑚礁の海に生きる生物が紹介されていました。
済州と沖縄は、ともに国土の最南端に位置する観光の島であり、水族館のような分野で協力関係が存在するのは自然なことと思われます。同時に、済州の海を再現した展示を見ていると、そもそも済州は、九州北岸から見ると、玄界灘を挟んですぐ反対側という事実に思いが至ります。済州の水産物市場でも、くえ、ぶり、鯖、剣先いか等々、九州北岸でも見られるような水産物が多く見られ、こうした良質かつ新鮮な水産物を日本の産地同様に味わえることは、済州生活の醍醐味の一つであるとも思います。
なぜか話がそれて食べる方の話になってしまったのは、水族館の魚を見ていてお腹が空いたからでしょうか。水族館から済州の海を眺めて、玄界灘の反対側、そして対馬海流・黒潮が流れてくる先に日本があることに、思いを馳せるのでした。
訪問関連フォト

△水族館に入ると、目の前に広がる海と、その向こうに城山日出峰。「美ら海水族館」のエントランスの、伊江島を見渡す海の光景を彷彿とさせるものがあります。

△アオウミガメとともに、竜宮城をモチーフにした展示。済州島でも西帰浦市の中文(チュンムン)地区でアオウミガメの産卵が見受けられますが、「アクアプラネット済州」としても、人工増殖・放流を通じてアオウミガメを保護する活動を行っているとのことです。

△大型水族館の定番、海中トンネルも楽しめます。同じく動物園の定番となってきている「行動展示」も充実しており、ゴマフアザラシの円柱水槽や空飛ぶペンギン等の展示は、日本の行動展示の元祖・北海道の旭山動物園のそれらを彷彿とさせます。ちなみに、済州特別自治道と北海道は、友好協力都市の関係にあります。

△大水槽の前で。以前はジンベイザメもいましたが、現在はマンタを展示のメインに据えているとのこと。でっかい水槽で海の生き物がゆったりと泳ぐ姿に、癒やされます!

△オーシャン・アリーナでのショー。アザラシ、ペンギンなど、様々な海洋動物の生態説明会ももちろんありますが、ダンスや飛び込みなど水中で行われるダイナミックなパフォーマンスを中心に、エンターテインメント性の高い、華麗なオーシャン・アリーナでのショーは、いかにも韓国っぽいですね。済州島は海女さんが名物ということで、海女さんが直接出演する「済州海女の素潜り漁」プログラムもあります。
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