漢拏山焼酎(ハルラサンソジュ)~日本との縁も深い済州代表製造業

令和2年8月6日
「済州と日本のちょっといい話」は、2020年4月から2022年7月まで2年4か月にわたり済州で総領事を務めた井関至康前総領事が、済州の様々な場所と人々に出会い、済州道民の皆様からの協力を得て、取りまとめたものです。多様な分野で長い間続いてきた済州と日本の深い関係に触れる一助となれば幸いです。
※「済州と日本のちょっといい話」の記事内容は連載当時のものであり、一部内容は最新の状況と異なる可能性があります。

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 井関至康総領事は、(株)漢拏山焼酎に、玄丞倬(ヒョン・スンタク)会長・代表理事を表敬訪問しました。また、同会長とご子息の玄在雄(ヒョン・ジェウン)代表理事のご案内で、焼酎工場を視察しました。
 

地元、済州で愛される「漢拏山焼酎(ハルラサンソジュ )」とは?

  韓国で愛飲されている「焼酎(韓国語ではソジュといいます)」。 済州では特に、地元の名産である「漢拏山焼酎(ハルラサンソジュ)」が親しまれています。
 

漢拏山焼酎(ハルラサンソジュ )と日本との関係

 (株)漢拏山焼酎 の玄丞倬会長は、済州道議会議長、済州商工会議所会長等の要職を務められた人物であり、日韓関係への貢献等の功績で、平成27年春には旭日双光章の叙勲を受けておられます。 また、同社の3代目として、日本に足繁く通われ、日本の酒造業(日本酒、焼酎、泡盛)を大いに参考にしながら、火山島である済州島のおいしい水を生かした、すっきりした味わいの焼酎造りに取り組んでこられた方です。済州古来の伝統製法を用いて造られた同社の「ホボクスル」は、1996年(平成8年)6月に済州道で行われた日韓首脳会談の夕食会の乾杯酒としても使われた、日本との強い縁もあるお酒です。ちなみに、その夕食会の席上の挨拶で、橋本龍太郎総理(当時)は、当館を開設する旨発表しました。漢拏山焼酎は当館とも深いご縁があったのでした!

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△ホボクスルで乾杯をする橋本龍太郎総理と金泳三(キム・ヨンサム)大統領(1996年6月)

 産業といえばどうしても観光業や農水産業の比率が大きい済州道にあって、同社は、地元に根差した製造業として、非常に貴重な存在です。玄丞倬会長の、これまで日本とご縁を持ちつつ焼酎造りに傾けてこられた情熱に触れ、また4代目となる玄在雄代表理事から今後の抱負を伺い、代を継いで島の製造業を守り育てていくことに対する自負心に国の違いは無いことを、強く感じました。

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△工場の屋上から玄丞倬会長を囲んで、飛揚島を背景に記念撮影しました。


△漢拏山焼酎は、日本の酒造りをいろいろな面で参考にして発展してこられました。
 日本の酒造会社が企業の歴史と伝統を重視し、大事に残してきているのを参考に、2018年に新工場を建設するに際しても、旧工場の外壁も残すことにされたということです。
 また、日本の酒造会社が、地域の住民、愛酒家の皆さん、学校の社会見学などを受け入れるツアーを多く実施していることも踏まえ、漢拏山焼酎としても、消費者とのコミュニケーションのために、新工場については、工場ツアープログラムを設計に反映し建設されたということです(毎週金・土・日に各4回、実施しておられるということです)。
 

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