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[館員コラム] PICK-UP J-CINEMA!!
作品名:ピンポン
原作:松本大洋
脚本:宮藤官九郎
主題歌:SUPERCAR「YUMEGIWA LAST BOY」
主演:窪塚洋介(ペコ役)
ping-pong  

「この星の一等賞になりたいの卓球で俺は,そんだけ!」

「反応 反射!音速 高速!もっと速く!」

 

文法を無視した絶妙なリズム,印象的なフレーズと共に観る者を魅了し,上映場所の一つだった渋谷界隈では、この台詞が雑踏から聞こえてくるほどだった。

 

原作は独特なタッチの画風と,彼の視点で描かれる独特な物語には力強い魅力があり,私を含めた30過ぎの男性には,松本大洋の影響力は絶大である。

 

映画「GO」や「Laundry」等で人気を不動のものにしていた窪塚洋介の主演で,「GO」に続いて脚本を担当した宮藤官九郎とのタッグにも注目が集まったことでも知られている。

 

ゴールデングロス賞話題賞等を獲得し,当時の日本映画としては空前の大ヒット。

当時,本映画を映画館に見に行った筆者は,半日以上待ってようやく入場することができたが,パンフレットやピンバッジ等の関連商品がことごとく売り切れていて,悔しい思いをしたのを覚えている。

 

ポストロック隆盛の最中にあった当時の時代性を大きく反映させ,エレクトリックなビートを全面に打ち出した浮遊感あふれるメロディックな楽曲を発表いたSUPERCARの曲「YUMEGIWA LAST BOY」が主題歌として採用された。作品との相性は抜群で,映画公開当時,多くの人々が本映画のために書き下ろされた曲だと勘違いしたほどであった。

 

ペコの「I can fly!」の言葉と同時に鳴り響く同曲のビートはあまりにも有名で,サブカルチャーを飛び出して,一般リスナーにも広く親しまれるまでになった。

 

その他,日本を代表するテクノアーティスト,石野卓球(電気グルーブ)やブンブンサテライツの曲も挿入曲として使われており,音楽と映画の調和を楽しむことができるのも,この映画の魅力の一つだ。

文 : 水口雄策副領事(会計担当)
 
※今回ご紹介したDVDは当館公報文化センターにて閲覧および貸出を行っております!
皆様のご利用をお待ちしております。